"101"収録、オーニソロジー"エレタメモア"のD#m11について(グラスパー、Moonchildなどネオソウルのコード感)

　別館②。アルバム"101"特集の全編はこちらから👇

同じくオーニソロジー作、"Brocken Spectre"と"101"のコード進行、

そして"変なファンデーションft. FINAL SPANK HAPPY"と"カルロス・カスタネダの迫害と暗殺ft. DC/PRG"のリズムアナライズは上記URLから辿れます。

　というわけでもともとコレの中に組み込んであったものを、「いやコレ長すぎてわかんない人ちょっキツイわな…」と思いそのまま抜き出してきました。

無料世界で読めるものの中では比較的芯食ったことを書いてるような気がします。きっと…

・BPM=76, 6/4/4

[A, Guitar Solo] 8ms

F#m9 - B9(13)→ C#m9 - G9(13) →

D#m11 - G#7(b9, b13) → C#△9 - A#7(#9, b9)→

F#m9 - E(9)/G# → A△7 - E(9)/G# →

D#m9 - G#9(13) → A#m7 →

(Bメロぶんは☝️のフル版に、そしておやくそくですが「100%の正確性は担保してません」のでご容赦、辻村さん監修のコードブック創刊をいのろう👏)

・0:08~

　ここで、このAメロの"D#m11"の違和について書きました。

「楽理なんぞ知ったこっちゃねーやい」という方や、グラスパー、Moonchild、Wonkなどなどの『あの』コード感が食えてる方はカッ飛ばしていただき、「いやアレってどうなってんだろうね？」という方だけ少々お付き合いいただきたいのですが、

　そのために、スティーリーダンのPegの冒頭3秒間だけを引き合いに出します🐖

コード進行は「検索すれば簡単に出てくるから…」と思ったけど出てこなかったので書きま…

F△9 → "E7(#9, b13) → Eb△9 →"

　今回見ていきたいのは "E7(#9, b13) → Eb△9 →" の部分。

V7のオルタードを、Im7で受けず、半音下がるカタチで5度圏ウラの#IV△7が受けるという進行ですね。

　これはジャズ・ネオソウル常套フレーズで、最近コピーした中だと「そのものズバリ！！」な選曲ですが、この曲の↓

Bメロで、この『V7→#IV△7モーションを連鎖させて転調する』という技法が使われています。

　端的に、やっていることはコレと同じで「V7→#IV△7の#IV△7を、

#IV△7/#II(=bIII)にリハモしている」だけと言えます(結果的に"V7→bIIIm9"進行に変形)。

　D#m11のベース音を除外してみると、現れるのはF#△9。なのでエレタモメアの"G9(13)→D#m11"も、Pegや"Don't Wake Me"と同じV7→#IV△7進行のバリエーションを鳴らしている、と解釈することができますね。

　D#m11が鳴らされる以前のトーナルはC#マイナー(/Eメジャー)であることが伺えます。

トーナルC#mにおいて、D#をルートに持つコードはロクリアン由来、つまりD#φでなくてはならないはずなのに、ここではなぜか5度も9度もナチュラルのまま登場しています。

コードの構成音がダイアトニック圏から逸脱するので、サプライズ感、あるいは転調感に満ちあふれたコード進行が生まれるというわけです。

　フリーペーパー"Intoxicate"誌での坪口昌恭さんの連載で"Show You The Way"が特集された回でも、マイナーのII、メジャーのVIIがm9化することについて、アナライズがなされています。

(「メジャーのII(マイナーのIV)がメジャー△7化したものの短三度下にベース音を付与してm9コードを作っている」というアナライズでした。

メジャーのII、マイナーのIVが△7化することについては、『ポップアナリーゼリローデッド2018』の"Fall Asleep"分析でより詳細に語られています)

　そしてここからが肝心要…だけど長いのですべてカッ飛ばしますが、まさにコレこそが、普段から書いている『短三度の音脈』の強調です。詳しい人正式名称カモンセイ！！

　というわけでスーーンマセンこれ以上はご勘弁を…ですがもったいぶらずとも、コード譜を注視して、ここに書いたことを読み解くだけで大抵のナゾは解けるはずです。つかもうほとんど書いてるけどひっくり返すだけですダイアトニック！！がんばって！！買ってね101！！！

　…というわけでした、買ってね101！！

　スパンクスのアルバムも(出たら)買ってね………